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インドの環境問題・・・原子力と牛糞

2007/12/01 19:11

 

インの国勢調査は10年に一回、前回は2001年に実施された。それによると、世帯数は19,200万、電気使用世帯は44%、燃料として牛糞と薪を使用している世帯は53%、人口増加率は1.7%6年後の現在は、大雑把に見て、約2億世帯、電気未使用世帯と牛糞・薪使用世帯はそれぞれ50%前後だろう。

 

環境問題、京都議定書に参画しなかったアメリカオーストラリアがようやく積極姿勢を示し出し、大気汚染など公害問題が深刻化してきている中国も乗り出さざるを得ない状況に追い込まれている。来年は世界的規模で環境問題が討議され、先進国と後進国・発展途上国の質的問題がクローズアップされる。最重要国は最大CO2排出国のアメリカと中国であることは疑う余地はない。他方、将来的に大規模なCO2排出国になることが間違いないインド、発展途上国の代表として、発展途上国が将来の環境問題にどのように取り組むべきか、先進国との相互協力関係など、将来的モデルとなる可能性もあり、注目されるところである。

 

この数年インド経済成長率は約9%、著しい成長を遂げている。だが、成長の牽引役は主にIT・サービス産業で、多量にエネルギーを消費する製造業の成長はこれから、やっと工場用地整備が始まった段階にある。本格的経済成長はこれからである。主因は言うまでも無く、国内インフラの未整備にある。特に電力不足と貧困なロジスティックが大きな問題である。モータリゼーション、乗用車やバイクの販売増加率で言えば成長は大きいと言えるが、絶対量はまだまだ小さい。率でインドの成長を見ると見誤るので注意を要する。経済的にはインドはまだまだ小国である。必ず大国になるが、そのスピードと規模が重要なポイントになる。インドは今の5カ年計画で4箇所でのCO2を多量に発生する’超大型石炭火力発電所や‘CO2を発生しない’原子力発電所を含む数多くの発電所建設計画が動いている。この発電所が完成し稼動開始すれば、新たな電力需要が起こる。電化されていない村々で家電の需要が新規に発生する。需要は新たな需要を創造する。未だ電化率50%の国である。これから少なくとも50%伸びる余地がある。地球環境問題を持ち出してインドの電化を阻害する訳にも行かないだろう。文化的生活に変わりつつあるインドの動きを止めるわけにも行かないだろう。しかし、自ずとCO2排出量の増大につながる。更に、家庭用燃料の問題もある。牛糞がプロパン・ガスや電気に変わったらどうなるか、牛糞を不潔と言って軽蔑するわけにもいくまい

 

インドの現在の農村人口は推定約8億人、農業就労者は約25千万人・13千万世帯、数頭の牛を飼っている農家が多い。牛は約28千万頭いる。インドミルク生産量は世界1で約9,200万トン、其の内70%は貧農が生産するミルクである。ミルクと共に牛糞は家庭用燃料であると同時に重要な現金収入源である。牛糞を燃やした後の灰は、鍋釜を磨く洗剤となり、歯磨き粉となり、何に効くか判らないが家庭用常備薬の原料にもなっている。時に壁の漆喰にも使われる。農村では毎日牛糞を集め、牛を散歩させ、餌用の草を刈り、牛を洗い、自然と人と牛が一体化したのどかな生活が営まれている。牛糞の原料は近辺に生えている草、牛により粉砕され濃密にされ、胃液で改良・消毒・液体化、腸で脱水され糞として排出される。インドの強烈な太陽光で消毒され乾燥され固形化される。この固形物は農民と太陽光により加工された「草炭」であり、「草炭」→「泥炭」→「亜炭」→「褐炭」→「石炭」の流れの中で、唯一人間の手で加工され作られた消毒済自然炭化燃料と言える。インドの自然、強烈な太陽光を活用した歴史的生活の知恵の産物であり、正に人と草とソーラーパワーの結晶である。

 

牛糞はそのまま放っておけば、乾燥し土に戻り肥料になる。肥料・土壌改良剤としての価値はあるだろうが、経済的価値はそう高くない。電化が進み、更に家庭用燃料に電気やプロパンなどが普及すれば、13千万世帯(因みに日本は4,700万世帯)大変なエネルギー消費量になる。牛糞は石化燃料使用によるCO2排出量を増やさない。その言う意味で「現在の文化・慣習を継続する事もCDMの対象とならないか?」と専門家に聞いたが、一笑に付せられたことがある。新しい技術導入による削減でないと駄目である、と言うのが理由である。しかし、インドの農民が生活水準の向上と共に電気を使いプロパンを使い、牛糞を活用しなくなったら、大変な事になる。あっという間に日量200300万バーレルに相当する石化燃料の消費増となる。

 

インドは徐々にインディアン・タイムで成長するしかない。それが安全であり正攻法だろう。その為にも牛糞生産業者に補助金を支給するとか、CDMの対象とするか、牛糞に炭粉を混ぜるなどの技術改良し、練炭と同様の扱いをして奨励金を出すとか、何らかの知恵を出して牛糞文化を守る工夫が必要だろう。まだ50%のインド人が牛糞を使っているのが実態である。インドの原子力の問題も重要課題であるが、牛糞問題も真剣に考えなければならない世界的問題である。

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