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中国・宗教に対する寛容路線転換の賭け

2007/03/06 11:19

 

日本人に「貴方の信仰する宗教は?」と聞くと、殆どの人が即答できず躊躇する。伝統的な仏教、神道、道教、儒教、そしてキリスト教などの考え方や風習が生活習慣に溶け込んでおり、個々の宗教を真剣に信仰した事が無い、と言うのが大半だろう。

中国の宗教の実態も複雑で、中国人ですら上手く説明できない状態のようだ。中国は憲法で「宗教の自由」を謳っているが、共産党の指示・指導に従わない宗派は邪道とされ、社会秩序を乱す活動は禁止されている。人口13億人以上の中国で何がしらの宗教を信仰しているものは約1億人と言われる。8%にも満たない。仏教、道教、イスラム教、キリスト教が4大宗教となっている。儒教は「身分制秩序とそれに基づく仁道政治」が基本で、家父長制や男尊女卑などの思想に基づく宗教で共産主義思想に合わず、文化大革命時に徹底的に弾圧・破壊された。今は「論語」の人生訓的思想と「冠婚葬祭」の姿で生き続けている。

然し、8%と言う数字は極めて少ない。中央政府による弾圧、特に文化大革命時の弾圧と寺院の破壊、書物の焼却などを経験し、共産党員から聞かれれば「無宗教」と答えざるを得ないと言うのが実態だろう。文化大革命時、中国全土で5,000万以上の犠牲者が出たと言われ、死者は1,000万人とも3,000万人とも言われているが、特に宗教が徹底的に否定され攻撃目標になった。寺院や宗教関連文化財が焼かれ、僧侶や信者も多数虐殺された。一番の悲劇はチベット教(ラマ教)である事は周知の事実だが、未だ解決されていない。現在も中国中央政府にとっては、チベット教、キリスト教、法輪功は‘邪教’の様だ。こんな状態では中国国民もおいそれと「私はXXX教を信仰しています」などとは言えまい。更に、中国は多民族国家でもある。漢民族以外にもかなりの民族がおり、それぞれ独自の宗教を信仰している筈である。下手をすると宗教問題が民族問題にまで発展しかねない。特に少数民族が固まって住んでいる僻地は常に民族問題がある。

貧富格差の拡大、貧民が益々貧しくなる構造は、貧民を「心の拠り所としての宗教」に走らせる可能性がある。近年キリスト教徒が急増していると言う話を聞く。キリスト教会建設と、その取り壊しの「いたちごっこ」を繰り返していると聞く。世界のキリスト教団体が弾圧行為に抗議している。キリスト教会は眼に見えるが、中国政府が恐れるのは「地下の信者」が増える事だろう。インターネット活用量も爆発的に拡大し、思想コントロールも難しくなってきている。全人代と並行して、弾圧対象であった宗教への寛容路線、自由度の拡大と活用を検討している。経済面からの弱者・貧者救済策、精神面での宗教の寛容、と言う飴、そして軍事力・警察力強化、このバランスが崩れると、少々危険な状況にもなりかねない。数億人の小金持ちの株売買で、世界の株価が同時に動かされる、それも中国である。9~10億人の貧民の動きも同様、中国全体を動かすエネルギー源ともなる。宗教活動が活発になれば、この不満エネルギーを纏め、民族を纏め、エネルギーをある方向に動かす可能性を秘めて来る。これも中国である。政策如何だろうが、中国政府の政策で株価も動く。今秋~年末にかけて更にもう一段安くなる、と言う噂がもう出ているそうだ。益々目が離せなくなって来た。

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