国民会議派率いる連立与党、大勢は優位だが苦戦と予想されていた。5回に分けた投票、昨日一斉に開票された。結果は連立与党の大勝。545議席の過半数には届かないが、今現在の段階で258議席確保、国民会議派だけでも改選前の145議席から206議席と大幅に議席を増やしている。単独1党で200以上の議席を確保するのは、1984年以来である。もっとも、1984年総選挙は、インディラ・ガンジーの全盛時代、国民会議派だけで404議席を確保した。その後のインドの変化を考えれば、今回の国民会議派の躍進は、「より良い生活を切望するインド人の心の変化」を映していると言えるかも知れない。
ソニア・ガンジー国民会議派総裁は、早々とマンモハン・シン首相の続投を宣言した。5年間フルに首相職を務めた首相が次期も続投するのは、1961年のネルー首相以来、インド史上2人目である。
オバマ大統領は早々祝意を伝えた。世界最大の民主国家インドの選挙が整然と行われ事に関する賛辞と共に「印米両国の友好関係・パートナーシップの益々の強化」をアピールした。
今回ヒンズー至上主義のインド人民党(BJP)は大敗した。イスラム教徒・パキスタンへの敵愾心をむき出しにするBJPの姿勢に対し、一般庶民は平和的解決の道、ヒンズー教徒とイスラム教徒との共存共栄を図る、所謂‘世俗主義’を選択した。BJPが政権を執れば、パキスタンとの対立が先鋭化し、「テロ事件が多発する危険性が大きくなる」との懸念を強く抱いた結果だろう。「非暴力と寛容」がインドの基本である。
左派共産党も大敗した。インド全体の経済成長と共に、地方の生活レベルも着実に向上している。その中で、共産党が政権を担う州の経済状態は思わしくない。外資を含む企業が‘共産党‘色の強い州への進出を敬遠している為である。加えて、共産党の地盤である西ベンガル州で起こったタタ・モーターズの‘ナノ工場建設事件’‘農地不正買収事件’も、共産党には逆風となったようだ。‘急速に成長するインドの流れ’に、‘共産党のイデオロギー’と政策が合わなくなったとも言える。昨年、印米原子力協力協定を巡り、左派共産党は連立政権から離脱した。昨日、左派共産党は、国民会議派主導の連立政権・政策に対し、支持を示唆する発言をしたが、国民会議派がどの様に判断するか…。
躍進を続けている地方政党…、「経済成長の鈍化」の影響か、国民会議派に巻き返されている選挙区も散見する。一般庶民は‘暫し流れを見る’判断をしたようだ。大勢に乗り、州政治を有利に運ぼうとする算段だろう。
経済界、連立政権の大勝を大歓迎している。更に、左派共産党を引き込まなくても過半数の議席を確保できる体制が磐石になる事を期待している。国民会議派の経済政策を、共産党を気にせず堂々と実行できるからだ。
今回注目されたのは、ラフル・ガンジー(38歳)の政治家としての成長、ポスト・マンモハン・シンの候補として認知され始めた点だろう。2014年の総選挙には43歳になる。将来を見据えて国民会議派は動き始めている。
国民会議派主導の連立政権、どの政党・地方政党を取り込むか、BSPをどの様に扱うか、左派共産党をどの様に扱うかも注目される。「地方経済政策」「貧困対策」に与える影響が大きいからだ。
兎も角、向こう5年間、インドの政権は安定、政治も経済も従来と同じ政策が継続される事になる。現政権、第2~第3四半期には、インド経済は回復し、9%台の成長ペースに戻ると明るい見通しを発表している。


by はぐれ雲
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