去年インド食品安全基準基準局が、全インドで牛乳の品質確認調査を行った。先週発表された結果は、69%が不合格、インドで話題になっている。不合格の理由は①栄養価・濃度を高める為に脱脂粉乳等を混ぜたり、②増量する為に水を混ぜたり、③洗浄剤が混入しているケース(84%)、日本では考えられない「驚くべき実態」である。確かに数字で示されれば「驚くべき実態」ではあるが、インド社会では大した問題ではない。「そんなもんだろう」と思っているインド人も多いと思う。中国のメラミン混入事件とは、次元が違う問題である。
インドの70%の牛乳は毎朝‘零細農家’で搾乳され、専門集配人がアルミの容器で各農家から収集、集荷所で殺菌・加工され、ミルク・スタンドで売られる。一般庶民が家庭で飲む新鮮な牛乳である。各家庭は自家用の牛乳用容器を持ってミルク・スタンドに買いに行く。買ったミルクは直ぐ‘煮沸沸騰消毒’する。インド人にとっては当たり前の事である。従い、多少、混ぜ物があっても気にせず、病気にもならない。多少の汚れは当然であり、其の為の処理方法が生活の知恵となって受け継がれている。
我が息子たちはインドの牛乳を飲んで育った。5年間、何の問題は無かった。かなり昔の話ではあるが、今でも正常である。
最近の「市販品」に関しては良く判らないが、多少「混ぜ物」があっても許容範囲内だろう。多少の不潔をいちいち気にしていては、インドでは生き延びられない。インドにはそれぞれの対処方法がある。インド人から学べば良い。
インドの牛乳、「牛のミルク」と「水牛のミルク」を仕分けせずに混ぜてしまう。「水牛のミルク」の方が成分も濃く値段も高いのだが、集荷時に混ぜてしまうのでミルクの成分調整が難しい。濃ければ多少水を混ぜても気が付かない。収集人のアルミ製の容器、見るからに汚い。洗浄剤を使って洗うのだろうが、最後に洗い流す水も洗い方も怪しい。洗浄剤が容器に残っていても全く不思議でない。今まで問題にならなかったので、昔ながらの洗い方をしているのだろう。洗浄剤を使うようになっただけ進歩していると言える。朝、自転車にミルク収集容器を載せて走る姿は、インドのどこでも見られる光景である。どこに行っても収集容器は汚い。
屋台の裏で食器を洗う光景を良く目にする。鍋や皿などの食器を洗う洗浄剤は、昔は灰が使われた。燃料用に使われた乾燥牛糞の灰である。灰は「完全熱消毒」されているが、灰を流れ落とす水が問題である。
インドの食生活、食材に関しては其々処理方法のノウハウがある。基本は熱を通すこと…。最近流行のスナック菓子類も約50%は不合格品らしいが、熱処理したものは大丈夫だろう。「気の持ち様」である。日本の戦後から高度経済成長期と同じような状況だろう。日本にも「怪しい食べ物」が多かった。
インド、2010年の牛乳生産量は約1億2,100万トン、世界の約17%、ダントツの世界一である。牛の頭数は約3億頭、其の内1億頭は水牛である。濃度の違う牛と水牛のミルクを仕分けする必要性を感じていない自然な世界でもある。
洗浄剤の混入は困った問題である。脱脂粉乳や水を使った成分調整は、経営者の浅はかな知恵だろう。余り悪意のない知恵、衛生と食品管理に関する知識不足=教育の問題と思う。根本的に中国とは異なる。
日本人は衛生に過敏すぎる。お蔭で無駄も多い。「無菌状態」、確かに安全だろうが、菌に弱い日本人、将来が思いやられる。


by iza-bear
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